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土地改良区における法人税や消費税の納税義務についてわかりやすく解説

土地改良地区の税金について知りたい方へ

  • 土地改良地区について知りたい方は、この記事で徹底的に理解しよう
  • 土地改良地区の税金について知ることで、優遇措置も理解できます
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土地改良区が負担する法人税や消費税は、かかわっている農業経営者が知っておくべき重要な知識です。
 
この記事では、土地改良区や、課税の有無、法律で制定されている税各種に対しての課税の有無について解説します。

目次

そもそも土地改良区とは

土地改良区(以下、土地改良区連合を含む総称とする)は、農業経営者たちで構成された組織の名称で、「公共法人」に該当します。
 
※末尾が「区」となっていますが、特定のエリアを指す言葉ではありません。 
土地改良法(1949年制定)により誕生した土地改良区は、「水田」「ため池」「水路」などの土地改良施設の維持管理の役割を担っています。
 
土地改良区がこれらの管理を徹底することで、綺麗な水が維持され、人々の安心安全な生活が守られ、各種生態系が生息できる環境が整えられて、全体として自然環境の保護が成り立っているわけです。
 
類似名称の組織として「土地改良事業団体連合会」が存在します。 
土地改良事業団体連合会は、営利を目的としない「公益法人」で、土地改良区へ運営面、技術面に関する支援や指導を行っています。

土地改良区と主な税金の納税義務

土地改良区における税金に関しては、法律に基づき納税義務の有無が税種別に制定されています。
公共法人のためどれも非課税だろうと思われることもありますが、実際はそうではありません。

以下に課税非課税の詳細を解説します。
 

法人税

土地改良区は、法人税法上は公共法人に該当し、法人税の納税義務はありません。
公益法人である「土地改良事業団体連合会」は、収益が発生する事業を営むにあたっては法人税の納税義務が発生します。
 

消費税

土地改良区は消費税法上の事業者に該当し、消費税の納税義務対象です。
 
しかし、2事業年前の課税売上高が小規模事業者(※参照)に該当する場合は、「別段の定め」のような例外を除いて納税義務が免除されています。 
※1000万円以下の事業者
 

印紙税

現行法では土地改良区が作成する文書に対しては、印紙税は非課税となっています。
 

登録免許税

土地改良事業の施行のために必要な土地や建物に関する登記は、土地改良法に基づき、土地改良区は登録免許税が非課税となっています。
 

所得税

利息や配当の支払いを受ける場合に、営利法人は所得税が源泉徴収される決まりですが、公共法人である土地改良区が利息や配当などの支払いを受ける場合は、所得税は非課税となっています。
 

固定資産税

土地改良区が保有する固定資産(例:事務所や倉庫、農業用排水施設としての土地、前記関連の固定資産該当施設、防風林や土砂防止林など)に対しては、固定資産税は非課税となっています。
 

不動産取得税

土地改良区が保有する不動産(例:事務所や倉庫、農業用排水施設としての土地、前記関連の固定資産該当施設、防風林や土砂防止林など)に対しては、不動産取得税は非課税となっています。
 

事業税

土地改良区は、公共法人のため、その行う事業に対して事業税は非課税となっています。
 

法人都道府県民税

土地改良区は、公共法人のため、法人都道府県民税は非課税となっています。
 

法人市町村民税

土地改良区は、公共法人のため、法人市町村民税は非課税となっています。
 

土地改良区に対して課税される消費税についての詳細

土地改良区には消費税が課税されることがわかりました。 
そこで、土地改良区と消費税法を照らし合わせて考えましょう。
 
消費税法では、「事業者は国内において行った課税資産の譲渡などについて、消費税を納める義務がある」と規定されています。
※事業者とは個人事業主や法人を指します。
 
土地改良区は法人であるため、土地改良区が国内において行った課税資産の譲渡などについては、消費税を納める義務があるということとなります。
消費税法では「納税義務者 = 事業者」と規定されています。
 
つまり、これに該当する土地改良区のそれぞれの会計区分に対して、納税義務があったりなかったりと曖昧なことは一切ないことがわかります。 
このように、すべての土地改良区は消費税の納税義務者に該当することもわかります。
 
ただし、基準期間中の課税売上高が1000万円以下である土地改良区は「別段の定め」がある場合を除き、消費税の納税義務は実際に免除されています。 
しかしこれはあくまで「納税義務の免除」であり、事業規模が小さいため仕方がないと考えた譲歩的な措置です。この点、「免除」と「非課税」の法律上の定義を誤認してはいけません。
 
土地改良区の消費税の納税義務に関して更に解説します。
 

土地改良区は特定の会計区分で計算できない

会計区分単位での消費税法の規定では、区分単位が適用されるのは「国と地方公共団体」だけとされています。
土地改良区は「国と地方公共団体」に該当しないため、その組織内で独自の会計単位を設けても税法上は区別されません。
 
過去にあった事例として、ある税務署が管轄対象の土地改良区の税務申告に関して、会計区分別の税務処理を良しとしたことがありましたが、国税のほうでは却下されたケースがあります。
 
これは、全国の土地改良区の総数があまりにも少なく、申告に関する対応の前例も少ないため起きた齟齬と言われています。
税法は後追いで制定されるようなケースは少なくなく、また、税務署と国税の見解も異なっていることも少なくありません。

従って現時点では、「恐らく”正”」と判断される申告を選択することが、土地改良区としても無難な選択ではあります。
悪意はなくともペナルティが課されるようなケースを回避するための、唯一の方法ではないでしょうか。
 
結論として現状の見解は、土地改良区は消費税を会計区分別に算出して特定の会計区分だけを除いた税申告をしても意味がない状況であることは共通認識として持っておいたほうがよいこととなります。

トータルでは土地改良区は税制面で優遇措置が多い

上記のように、土地改良区は非課税の税種が多く、その公共性が故に税法上の優遇措置がとられていることがわかります。

土地改良区は税制面のメリットがある一方で...

近年の状況を見るに、人口減少や高齢化を背景として土地改良区はその維持管理が大変な状況に陥りつつあります。
管理する農村には、土地改良区として従事する以外の人たちの住宅団地も建設されて、住まう人々の生活による排水問題が発生したりする現状です。
 
この問題を解決するために、土地改良区は新たな支出を生むケースもあり、税制面の優遇がある一方で、もし優遇措置が無ければ今よりも維持管理が逼迫いていた可能性があります。
 
知っておいて頂きたいことは、住んでいる近隣の水田、水路、ため池などが、土地改良区が管理している施設かもしれないという事実です。
土地改良区の組織努力によって綺麗な水、人々の安心安全な生活、各種生態系が生息できる環境、自然環境の保護が維持されていることを認識しましょう。そしてみんなが協力の姿勢をもつことが必要な状況です。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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