ポラスの物件検索サイト ポラスの物件検索サイト

ポラスの仲介

家賃無料で子ども・親族に空室を貸したら贈与税が発生する?税金への影響などを解説

子どもや親族を所有する賃貸物件に住まわせたいとお考えの方へ

  • 「子どもに無料で賃貸物件を貸したい」という方はこの記事で贈与税について確認を
  • 親子・親族間で不動産を貸し出す際の各種税金への影響を事前に把握しておきましょう
  • 贈与税がかかるケースとかからないケースの違いはこの記事でハッキリします
贈与税は金銭等を渡すと発生するものですが、子どものための生活費・教育費にはかかりません。
また、子どもや親族に空いている賃貸物件を貸した場合も実は贈与税はかかりません。ただし相続税や計上できる必要経費に影響が出るため注意が必要です。
 

目次

子どもの家賃を親が負担したら贈与税が発生する?

まず、贈与税は生活費や教育費などは対象とならないことが前提にあります。子どもの家賃については「社会通念上適当と認められる範囲」であれば生活費と判断されるため贈与税はかかりません。
 
「どの程度の金額までなら適当なのか」という明確な金額の基準はありません。贈与者と受贈者の資力などを勘案した上で個別に判断されます。「通常の日常生活を営むのに必要な費用」という考えのもとで生活費と判断されるのであれば、家賃にも贈与税が発生しないわけです。

賃貸物件の空室を家賃無料で子ども・親族に貸した場合の贈与税は?

賃貸物件を所有する親が子どもや親族に無料で使わせたとしても、贈与税が直ちに課されることはありません。そのため、所有する賃貸物件に子どもや親族を無料で貸し出したとしても税務上の問題となることはないでしょう。
ただし、不動産の無償貸与は税金や不動産評価額などに影響する点には注意が必要です。

親子・親族間の不動産賃貸、税金への影響とは?

所有する不動産に親子や親族を無料で住まわせるというケースは決して珍しくありません。ではこのようなケースでは、相続税・贈与税・所得税にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
 

相続税

相続税は不動産や預貯金などのプラスの資産はもちろん、借り入れなどのマイナスの資産も含め全ての財産を合わせて評価しなければなりません。不動産については人に貸している「貸地」または「貸家建付地」なのか、自分で利用している「自用地」なのかで評価が異なります。
 
貸地や貸家建付地の場合、その不動産の評価額は低くなります。借地人や借家人にも権利があり、その権利分だけ評価から差し引かれるためです。実際に所有する土地にアパートやマンションを建てて貸家建付地として評価額を低くすることは、相続税対策としてよく行われています。
 
では子どもや親族に無償で貸しているケースではどうでしょうか。このケースでは子ども・親族に対して生活費援助をしているという形となります。賃貸借は行われておらず、(無償で)借りている子ども・親族には借家人としての権利はありません。そのため、その不動産は自用地となり評価額が高くなり、相続税の節税効果は失われます。
 
また、子どもや親族に貸し出している場合、小規模宅地の特例が適用されない可能性があります。この特例は土地の評価額を80%または50%減少できるもので、大きな節税効果があります。しかし適用には被相続人と土地を借りている人が同一生計の親族でなければいけません。もし貸し出す親族が同一生計でない場合は注意が必要です。
 

贈与税

例えば、賃貸物件に無料で住まわせるケースでその後に贈与する場合は、借地・借家ではなく自用地扱いとなって不動産評価額が高くなるため贈与税も上がります。もちろん、不動産そのものを子どもや親族にそのまま贈与することはほぼありませんので、このケースはあまり現実的ではありません。
 
見方を変えて、法人税においては収受すべき家賃を受け取っていない場合、その家賃相当額は贈与税の課税対象となる可能性があります。ただし、個人間であればそのようなことはありません。扶養義務者相互間における生活扶助、つまり無償貸与という形で生活費援助したという扱いとなり、贈与税の対象外になるでしょう。高級マンションで賃料が月数十万円もするようなケースでなければ心配はありません。 
 

所得税

所得税とは収入に対してかかる税金です。子どもや親族に無料で貸し出す場合は家賃収入が入らないため、その分の所得税もかかりません。例えば、3部屋のアパートを所有している場合、1部屋を子どもに無料で住まわせるならば、2部屋分の収入となります。つまり、無料で子どもに住まわせている分については所得税がかからないわけです。
 
しかし注意しておきたいのは、無料で貸している部分については必要経費として認められないという点です。上記の例で言えば、固定資産税を必要経費とできるのは3分の2だけとなります。子どもに住まわせている3分の1の部分については自用地扱いとなるためです。同じく減価償却や借入金利息、共用部の電気代なども3分の2までしか必要経費として計上できなくなります。
 
このように、子ども・親族に無料で貸し出す分については所得税の発生はありませんが、必要経費として計上できないことを覚えておきましょう。

親子・親族間の不動産賃貸、注意点とは?

子どもや親族を所有する不動産に無償で住まわせることは珍しいことではありません。しかし、税金への影響もあることから安易に貸し出すことはおすすめできません。親子間の不動産賃貸において注意すべき点をいくつか頭に入れておきましょう。
 

・自用地と判断され不動産評価額が減らずに、相続税や贈与税に影響する
・小規模宅地特例の対象外となる可能性がある
・所得税は発生しないが、貸し出している範囲は必要経費に計上できない


子どもや親族に無料で貸し出す場合は、顧問税理士等と相談して所得税や相続税、贈与税にどれくらい影響があるのかを確認した上で判断されることをおすすめします。

その他、家に関する贈与税でよくある疑問

親子間で土地の貸し借りを行って家を建てるケースはよくあります。ここでは3つのケースに分類して、それぞれで贈与税がかかるのかどうかを解説します。
 

子どもが親の土地を借りて家を建てた場合の贈与税

土地を借りて家を建てる場合、借地人は所有者に対して権利金などを支払います。しかし、子どもが親から土地を借りてそこに自分(子ども)名義の家を建てた場合は権利金や地代などはかかりません。
このケースでは一見、贈与税が課されるように思われるかもしれません。しかし、親子間において土地を無償で貸し出すことは使用貸借という扱いとなります。借地を使用する権利の価額はゼロとなるため贈与税は発生しないのです。
 

子どもが親の借地に家を建てた場合の贈与税

第三者間で借地人から転貸を受けて家を建てる場合、権利金や地代などを支払うのが普通です。しかし、第三者が所有する土地を親が借地していて、子どもが転貸を受けて自分名義の家を建築する場合、親に対して権利金・地代は支払われることがありません。このケースも上記と同様に使用貸借となるため贈与税が課されることはないでしょう。
 

子どもが親名義の建物に増築した場合の贈与税

親名義の建物に子どもが増築すると、増築部分はその建物の所有者である親の所有物とされます。増築した部分の費用を親が子どもに支払わない場合、親は子どもから増築資金相当額の利益を受けたとされるため、贈与税が課されます。
しかし、子どもが費用を負担した増築資金相当の持分親から子どもに移転させて共有する場合は話が変わります。親は子どもから利益を受けたことにならないため、贈与税は課されません。

【おまけ】家以外の贈与税についての疑問

ライフイベントの中でも多くの費用がかかる結婚や出産のお祝いや費用負担を親がしてくれることは少なくありません。これらには贈与税がかかるのか簡単に解説します。
 
まず、結婚式の費用ですが、誰が負担するかは親子間や家同士の話し合いによって決まります。たとえ親が負担したとしても、それは贈与に当たらないため贈与税はかかりません。結婚後の生活資金も、「通常の日常生活を営むために必要」と考えられる家具・家電、その購入費用であれば贈与税はかかりません。しかし、贈与を受けてそれを預貯金としたり株式や不動産購入費用などに使用したりする場合は、生活費とはならず贈与税の対象となるため注意しましょう。
 
上記からもわかるように、ポイントとなるのは生活費かどうかで、これには治療費や養育費も含まれています。出産のための検査や検診代、入院費は治療費に準ずるため、贈与税は課されません。結婚・出産のご祝儀やお祝いは生活費とは異なりますが、「社会通念上適当と認められる範囲」であれば贈与税の対象とはならないのでご安心ください。

贈与税はかからないが他の税金への影響はある

子どもや親族に不動産を無償で貸し出した場合に贈与税がかかるのか、その他税金への影響はあるのかを解説しました。
 
親が所有する不動産に子どもを無償で住まわせたとしても贈与税がかかることはありません。何十万もする高級マンションに住まわせるといった特殊なケースでなければ心配する必要はないでしょう。
 
むしろ、こうしたケースでは相続税や所得税への影響の方を気にした方が良いでしょう。安易に貸してしまうと自用地評価され、小規模宅地の特例が適用されなかったり必要経費として計上できなくなったりするためです。
 
不動産を所有し賃貸運営しているのであれば、経営状況を鑑みた上で顧問税理士等と相談した上で子どもに貸し出すかどうかを検討しましょう。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

売却をご検討の方へ