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競売物件のメリット・デメリットとは?買い方や注意点についても紹介

不動産を購入する際、相場より安い価格で物件を購入する手段に「競売物件」があります。以前は不動産業者など専門知識のある業者が購入することが多かった「競売物件」ですが、最近は不動産投資セミナーなどで安く仕入れられる方法として紹介されることが多くなってきました。
一般市場に出回らない「競売物件」に関心を持つなら知っておくべき注意点や、その買い方を解説します。

目次

競売物件とはどのような物件?

不動産を担保に融資(借金)を受けた債務者(借入人)が返済できなくなったとき、債権者(金融機関など)は担保権を行使して「不動産競売申立て」をし、担保になっている物件が裁判所に差押えられ「競売」にかけられます。
競売になる物件には、一戸建て、マンション、宅地など住宅ローンで担保になっている居住用のものだけでなく、事務所や店舗、アパート1棟やオフィスビルなど事業性もの、農地、山林などさまざまなものがあります。担保になっていた不動産が、一般市場ではなく、法的に裁判所で入札形式で売却されるものを「競売物件」と呼びます。

同じように担保になっていても、債務者と債権者が協議して「任意売却」という方法で一般市場で通常の売却方法と同じように売却される場合があります。
つまり、競売で売却されるか一般市場で売却されるかの違いはあるものの、「競売物件」だからといって基本的に物件そのものに変わりはありません。

競売物件のメリット・デメリット

物件そのものは、多くは一般市場で売却されるものとほとんど違いはありません。その背景が、所有者がローンを返済できなくて強制的に売却されることになったか、所有者の自由意思で売却するかの違いだからです。
ただ、その背景があるがゆえに、以下のメリット・デメリットがあります。
 

■メリット

 

①  価格が安い

競売物件はたいてい一般市場の相場より2~4割程度安く購入することができます。
 

② 多様な物件が売り出される

売買が成立しにくい特殊な形状の土地や極端に狭い物件、市街化調整区域内の建物、農地や山林など一般市場では流通しないような物件も競売にかかることがあります。そのような物件を探したいときには、競売情報が活用できます。
 

③ 手続きの負担が少ない

競売物件のメリットとして、手続きがシンプルであることが挙げられます。一般的な物件の場合、所有権の移転登記や抵当権の抹消登記などの手続きを専門知識や経験のある司法書士を探し、依頼しなければなりません。しかし、競売物件になれば、煩雑な手続きを裁判所がおこなってくれます。
買い主は、入札用紙と暴力団員に該当しない旨の書類を提出し、保証金を納付するだけです。最後に残りの代金を納付すれば、手続きが完了となります。このように、通常の物件と比べた場合、買い主の手続きに対する負担が少ないところも特徴といえるでしょう。

 

■デメリット

 

① 物件の情報が限定的

競売物件は内覧することができず、元の所有者から物件状態の説明を受けることもできません。裁判所が提供する物件明細書・現況調査報告書・評価書や、現地を敷地の外から確認することになります。


② 物件引渡しが自己責任

競売手続きでは、裁判所権限で所有権移転登記までは行いますが、物件の引渡しまではされません。元の所有者が住んでいたり占有者がいる場合、買受人が自己責任で交渉するか法的手段をとって出て行ってもらうことになります。室内に家財などが残っている場合、勝手に処分することはできないので、注意が必要です。


③ 瑕疵担保責任を負ってもらえない

一般の売買では、購入後に物件に重大な欠陥が見つかった場合は売主が責任(瑕疵担保責任)を負うことになっています。しかし、競売物件ではこの責任を負う人がいないので、修繕などはすべて買受人が負担しなければなりません。


④ 期間が設けられている

競売物件を購入するときは、裁判所が指定する期間内と場所に、購入の意思を示す入札書を書留で郵送するか、持参する必要があります。これを「期間入札」といい、開札日に集まった入札書を開札し、最も高い価格で入札した者が購入の権利を得る仕組みです。

入札の期間は、1週間~1ヶ月ほどとされ、その間に該当物件や相場などの情報を収集し、入札の有無を思案したうえで、妥当な入札額を見積もります。また、期間入札をおこなう場合、売却基準価額の10分の2以上の保証金を入金しなければなりません。さらに、入札した後は、落札の取り消しができなくなります。

競売物件の買い方

買い方① 予算を決めて物件を選定

競売物件は、裁判所や新聞などに公示されます。BIT(不動産競売情報サイト)なら予算や地域から検索することができます。物件明細書・現況調査報告書・評価書は、BITからダウンロードまたは裁判所でもコピーを入手できます。
 

買い方② 入札開始日のチェック

入札する物件が決まったら、入札開始日を確認します。入札期間は約1週間で、期日を過ぎると受付されません。
ただし競売物件でも「特別売却(※)」の場合は、一番早く手続きする必要があります。
※特別売却
入札期日内に入札がない場合、裁判所が「特別売却」として先着順で買受けを募ります。
 

買い方③ 買受申出(入札)

(1)裁判所で入札セット(入札書・入札用封筒・保証金振込証明書)をもらう
(2)入札価格などを記入
  入札価格は、売却基準価格を2割下回る金額以上の金額(例:売却基準価格が100万円なら、入札価格は80万円以上)
(3)金融機関にある「裁判所保管金振込依頼書」で買受申出保証額を裁判所口座に振り込み
(4)「保証金振込証明書」に「保管金受入手続添付書」を貼付し割印(「入札保証金提出者」欄で使用したものと同じ印鑑)
(5)入札期間中に以下の書類を裁判所に提出
  ・入札書…(1)
  ・入札保証金振込証明書…(4)
  ・住民票(法人の場合は資格証明書または登記事項証明書、代理委任状

郵送などで送付することも可能ですが、入札期間中に到着しなければ無効です。また、いったん提出すると撤回や変更はできません。
 

買い方④ 開札・売却許可決定

開札期日に裁判所で開札結果が発表されます。BITでも確認できます。
落札者(最高額で買受申出した人)に裁判所から売却許可が下り、異議申立てなどがなければ1週間後に売却許可決定が確定します。
落札できなかった人の保証金は、後日返金されます。
 

買い方⑤ 物件明渡し交渉

競落物件に占有者がいる場合、買受人(売却許可が確定した人)は占有者と明渡し交渉をします。
 

買い方⑥ 代金納付

売却許可決定の確定後裁判所から「代金納付期限通知書」が届くので、通知書の指示に従って代金を納め必要書類を提出します。
代金納付の期日は、売却許可決定が確定してから1カ月以内の日と規定されています。期日までに納付しなければ、買受人としての権利を失効するだけでなく、保証金の返還もされません。
代金納付手続き後、裁判所から「登記識別情報通知書」(権利証の役割のもの)が送付されます。
 

買い方⑦ 物件引渡し

占有者から物件の引渡しを受けます。引渡しは買受人の責任となり、裁判所は関与しません。室内に家財が残されている場合、家財を勝手に廃棄することはできず法律に従って対処しなければなりません。
また、占有者が引渡しに応じない場合、引渡命令申立てを行い、執行官の明渡し執行(強制退去)を行います。これらの手続きや費用は、買受人負担となります。

競売物件の購入にローン使用は可能?

一部の金融機関では、競売物件の購入代金借入れに利用できる住宅ローンの取り扱いがあります。
ただ競売では、入札保証金(売却基準価格の2割以上)を自己資金で用意しなければなりません。そのうえ、落札できたにもかかわらずローン審査が通らなかったり決済が間に合わず代金納付できなかった場合、保証金返還が受けられません。
競売物件のなかには、住宅ローンの担保条件に合わないものもあります。住宅ローンを利用するなら、金融機関と事前にしっかり相談し、資金と時間に余裕を持つ必要があります。

競売物件を購入する際の注意点

一般的な売買では、売主(元の所有者)は所有権移転と物件の引渡し義務を負い、物件や付帯設備の現況確認と重要事項説明も仲介業者がしてくれます。しかし競売は、裁判所によって所有者の意思とは関係なく強制的に売却されるので、これらの責任を買受人がすべて負うことになります。

こういうリスクがあるため、競売物件が相場より安くなるのです。競売で安く買っても、想定外の修理代がかかったり、明渡しに時間と費用が必要になることもあります。裁判所が公表する物件情報だけでなく自分でも現地に赴きしっかり調査して想定し得るリスクを把握し、追加出費の備えをしておかなければなりません。
また、いくら準備していても、落札できるとは限らないことを認識しておきましょう。

競売物件は専門業者に相談を

このように競売物件には、競売という売却方法ゆえのリスクがあります。物件としては状態が良くお買い得なものもありますが、物件選びや入札価格の目安、ローンの組み方など、知識や経験のない人にとって容易ではありません。
不慣れな人が競売物件の購入を考える場合には、競売物件を扱う専門業者に事前に相談することをお勧めします。その際の料金は、成功報酬にしておく方が良いでしょう。なぜなら、落札できないこともあるからです。

監修者

コラム監修者 大沼
大沼 春香(おおぬま はるか)

宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。

最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。

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