
マンションの価格以外に必要となるそれらの費用には、どんなものがあり、それぞれどのくらいかかるのでしょうか? またマンション購入時の諸費用を抑える方法や、購入時の諸費用を現金で準備することについて考えてみましょう。
目次
マンション購入時にかかる諸費用について
まずマンションを購入するときにかかる諸費用です。
諸費用1:印紙税
マンションを購入するときの売買契約書に対して課税されるのが、印紙税です。売買契約書に収入印紙を添付して支払うこととなります。また、印紙税の金額は、売買契約書に記載される売買金額によって異なります。
売買金額/印紙代
500万円以下/2,000円
1,000万円以下/1万円
5,000万円以下/2万円
1億円以下/6万円
5億円以下/10万円
諸費用2:固定資産税・都市計画税
固定資産税は、土地や建物などを所有している人に対して課される税金で、その不動産の所在地の市町村が課税します。都市計画税は、土地や建物が市街化区域にある場合に課される税金です。固定資産税と都市計画税はどちらも、毎年1月1日時点でその不動産を所有している人に課税されます。年の途中でマンションを購入した場合は、引き渡し日の前日までは売主側が、引き渡し日以降はマンション購入者が負担するように日割り計算を行い清算するのが一般的です。
固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」、都市計画税は「固定資産税評価額×0.3%」の計算式で算出されます。
固定資産税評価額は、マンション価格の7割が目安です。
諸費用3:不動産登記の費用
マンションを購入すると、売主から所有者を変更することとなります。このように不動産の所有者の変更を届け出ることを「不動産登記」と言い、この登記には「登録免許税」という税金が課されます。マンション購入時にかかる登録免許税は、土地評価額の2%です。
また不動産登記は専門的な手続きのため、司法書士に依頼するのが一般的で、司法書士への費用が4~6万円ほどかかります。
諸費用4:仲介手数料
購入するマンションが中古の場合は、たいてい売主と買主の間をつなぐ仲介役として不動産会社が入ります。この場合不動産会社に対して、仲介手数料を支払うこととなります。仲介手数料は、200万円以下に対して取引額の5%、200~400万円部分に4%、400万円を超える部分に3%がかかります。
たとえば、2,000万円の中古マンションを購入した場合の仲介手数料は、
(200万円×5%)+(200万円×4%)+(1,600万円×3%)=66万円+消費税 となります。
新築マンションの場合は、仲介手数料がかからないケースの方が多いでしょう。
諸費用5:引っ越し・新生活の費用
さらにマンションを購入したら引っ越しの費用が必要となりますし、新生活にあたって家具や家電を購入する場合はそれらの費用も計算に入れておかなければなりません。住宅ローンの契約にかかる諸費用について
住宅ローンを利用してマンションを購入するなら、住宅ローンを組むためにも諸費用が必要となります。
諸費用1:印紙税
マンション購入時の売買契約書に印紙税がかかることはご紹介しましたが、住宅ローンの契約書にも同様の印紙税がかかります。印紙税の金額は、住宅ローンで借りる金額により異なります。
住宅ローンの金額 印紙代
500万円以下/2,000円
1,000万円以下/1万円
5,000万円以下/2万円
1億円以下/6万円
5億円以下 /10万円
諸費用2:ローン保証料
万が一ローンを返済できなくなった場合、保証会社が住宅ローンを返済します。この保証会社に対して支払うのが、ローン保証料です。以前は連帯保証人を立てるのが一般的でしたが、高額となる住宅ローンで連帯保証人を探すことは難しい場合が多いため、保証会社を利用する仕組みができました。
ローン保証料は、3,000万円の借入で70万円程度が目安です。
諸費用3:事務手数料
住宅ローンを契約するときは、事務手数料がかかります。金額は金融機関によって異なりますが、3~5万円程度が相場です。ただし、借入額の2%前後に設定されていることもあります。
諸費用4:団体信用生命保険
住宅ローンを組む時に一緒に加入する方が多いのが団体信用生命保険で、略して「団信」と呼ぶこともあります。これは住宅ローンの返済中に、融資を受けた方が死亡・高度障害などで返済困難となったときに、その時点のローン残高を本人に代わって保険会社が支払うための保険です。
団体信用生命保険は任意で加入するものですが、住宅ローンには加入を義務付けている金融機関もあります。団体信用生命保険の保険料は、借入金や契約者の年齢などの諸条件により異なります。ミューレーターなどを利用して、目安の金額を調べてもいいでしょう。
■機構団信特約料シミュレーション(住宅金融支援機構)
https://www.simulation.jhf.go.jp/simulation_danshin/index.php
諸費用5:火災保険料
金融機関は購入するマンションを担保に資金を融資する為、万が一の場合に備えて火災保険に加入しなければならないという条件を付与される事が多いです。
2023年2月16日現在、火災保険は最長5年間加入出来、マンションであれば約5万円~約10万円程度でも加入出来ます。
(選ぶプランや保険会社によります)
諸費用6:登記費用
住宅ローンを利用する際、金融機関は購入マンションに抵当権を設定して資金を融資します。この抵当権を設定する為に、金融機関が提携している司法書士へ依頼して支払うのが一般的です。
(融資金額によって費用が大きく異なりますので、金額感は担当営業に聞いておきましょう)
マンション購入後にかかる諸費用について

マンションを所有すると、購入した後にもさまざまな費用がかかってきます。
諸費用1:不動産取得税
マンションを購入すると、その所得した不動産に対して「不動産取得税」という税金が課せられます。マンションを購入してから6か月ほどすると、請求が届きます。支払いは一度だけのものですが、税額は固定資産評価額の4%かかりますので、忘れずに覚えておいた方がいいでしょう。
諸費用2:管理費用
マンションには、共用部分の清掃や設備管理のための管理費がかかります。管理費は物件によって異なりますが、毎月1万円~数万円程度が目安でしょう。諸費用3:固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税は、マンション購入時の諸費用としても必要ですが、マンションを購入した後も毎年課税されます。諸費用4:修繕積立金
管理費用とは別に、マンションでは大規模な修繕に備えて、修繕積立金を回収することが多いでしょう。5,000~15,000円程度が毎月徴収されます。
マンション購入時の諸費用を抑えるには?
こうして見てみると、マンション購入には数多くの費用がかかることがわかります。その費用は、物件価格の8~10%ほどにもなり、引っ越しや新生活の費用も考えると、1割超えることも考えられます。
そこで、諸費用を抑える方法を検討してみましょう。
方法1:自分で登記を行う
不動産登記は司法書士に依頼することが多いですが、法務局で自分で手続きを行うことを考えてもいいでしょう。ただし、住宅ローンを利用すると抵当権を設定する必要があり、専門家でないと難しいケースもあります。
すべての登記を司法書士に任せるのではなく、一部分は自分で行うなどして、司法書士への費用を抑えることを考えてもいいかもしれません。
方法2:火災保険を見直す
住宅ローンを組む場合は、火災保険に加入することが必須です。大切な自宅を守るために火災保険に加入することは大切ですが、必要以上に多額の補償をつけたりすると保険料がアップします。住宅環境に見合った補償内容にすることで、火災保険料を抑えられるでしょう。
方法3:固定資産税・都市計画税の軽減措置を利用する
固定資産税と都市計画税は、税額が軽減される特例があります。例えば新築マンションなら、固定資産税が5年間半額になる場合もあります。軽減措置については諸条件があるため、購入したいマンションがその条件にあてはまるかどうかチェックするといいでしょう。方法4:住宅ローンは手数料・保証料も確認する
住宅ローンを組む場合は、複数の金融機関を調べて、それぞれの金利に加え、手数料や保証料もチェックして、どの金融機関が良いか比較しましょう。マンション購入の諸費用は現金で準備
マンション購入でかかる諸費用は、基本的にすべて一括払いします。そのため、マンションの価格とは別に、諸費用分の現金を自分で用意しておかなければなりません。
もしそれが難しい場合は、ローンで諸費用をまかなうこともできます。
マンション購入には諸費用も含めた計画を
マンションの価格によって異なりますが、購入に伴う諸費用は数百万円ほどかかるものです。
マンション選びを進めていると、物件のことにばかり目がいってしまうものですが、諸費用も含めた資金計画をしっかり立てておくことが大切です。
さらに、住宅ローンを利用するなら、購入後にかかる諸費用と毎月の支払額も考えて、堅実な計画を練ることをおすすめします。
監修者

大沼 春香(おおぬま はるか)
宅地建物取引士
埼玉県・千葉県・東京都一部に拠点を置く
不動産売買仲介会社に15年以上従事。
自身も不動産購入を経験し「初心者にもわかりやすい」
実態に基づいたパンフレット・資料に定評がある。
最近はWEBや自社セミナーなどでの情報発信も行っている。